二重スリット実験の不思議
2019-04-17


光の干渉縞実験というのがある。スリットを2つ設けてそこに向かって光を当てると、スリットの向こうにあるスクリーンには光の干渉縞ができる。これは光が波動であるため2つのスリットを通りぬけて夫々別の波となり、その波同士が干渉しあって干渉縞ができるという古典的に解明されている現象。その先は興味深い話になるのだが、これを電子でやってみる。電子銃で電子をスリットに向かって無数に打つとやはりスクリーンには干渉縞ができる。これで電子が波であることが納得できる。さらに電子銃で電子を一つずつ打ってみる。するとスクリーンには一つずつ当たった電子が映る。しかしその一個ずつ電子を打つ回数を増やしていくとやはり当たった電子による干渉縞が現れる。電子は都度一個ずつしか打っていないのだから干渉はない筈なのに、それでもやはり干渉縞が現れる。このスリットを1つにすると干渉縞は発生せず、普通にスクリーンの一点に集中する。電子が2つのスリットを両方すり抜けたのではと考えて、スリットにセンサーを付けて観測すると電子はどちらか一方しか通っていないことが確認でき、電子は粒子であることが確認できる。この現象のメカニズムはまだ本当には解明されていないようだが、それらしい解釈はある。これがコペンハーゲン解釈と呼ばれる。コペンハーゲンは量子力学発祥の地であるボーアの研究所があり、そこで解釈されたことからそう呼ばれている。コペンハーゲン解釈によれば、電子銃から発射されてスクリーンに当たる前までの間は波動として振る舞い、スクリーンに当たって位置が観測された瞬間に粒子となるというもの。想像しがたいことだがその解釈だと以上のような現象が矛盾なく説明できる。電子銃にある一個の電子は位置が確定しているため粒子であり、電子銃から発射されてスクリーンに当たるまでは粒子ではなく、波動としてふるまうため2重スリットの両方を波動が通過し、その波動同士が干渉を起こす。そしてスクリーンに当たった瞬間に運動はゼロとなり、位置が確定することで粒子の性質に戻る。こう考えると腑に落ちるだろうか?
[自然科学]

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